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ここ1ヶ月半ほど僕にしてはとても、とても珍しく、多忙な毎日を送っていた。今回はそれをちょっと日記風にまとめてみました。
4/29(Mon)
明日ピッツバーグで朝の10時からジミー・ヒース・カルテットのお仕事。朝が早いんで今晩から現地入り。お仕事の内容は、小学生相手に「How to listen」と銘打たれた特別授業を10時と12時半の2回行うというもの。
この手の「クリニック」関係仕事は大の苦手。
というのもたくさんの人を相手に話せなアカンから。
日本語でさえ上手く出来なのに、ましてや英語でなんて、はぁ・・・、ちょい憂鬱。ジミーに「何を話したらええの?」って聞いたら、先生曰く「ベースってこういうもの、みたいなことを話しなさい。」
う〜ん、今晩の宿題やなぁ・・・。アカン、めっちゃ緊張してきた。
空港からはストレッチリムジン!に乗ってホテルへ。ピアノのジェブ・パットンくんとバーでビールを飲みながら
いろいろ話をする。やつ、トリオでデモCDを作りたいらしい。
楽しみがひとつ増えた。
4/30 (Tue)
9:30ころお迎えのリムジンが来て学校へ。
実はこのプログラム、ラッパのテレンス・ブランチャードのバンドとのダブルビル。実に豪勢極まりない。やつらは小ホールみたいな場所で、僕らは会議室っぽい場所で、同時進行。授業の内容は、まず1曲普段どおり演奏してそれからそれぞれの楽器の説明。ドラムのウィナード・ハーパーは子ども相手に話するのがホンマに上手。
だってやつ、子どもが10人いてるねんもん。すごいなぁ・・ってなにが?
で、一通り楽器説明が終わって次はまた演奏。
みんなちょっと飽きだしたので子供の大好きなドラムをフィーチャーしてジミーのオリジナル、Bbのアップテンポブルース「Ginger Bread Boy」。いい曲です。マイルスも録音してるし(「Miles Smiles」)、エルヴィン・ジョーンズもギャリソンとファレルサックストリオで録音してる(「Puttin' It Together」)。
そして、最後に質問コーナー。
それまで「フン、なんやこんなもん、つまらん。」てな顔をしてた何人かもジミーの「Any Question ?」の一言でいきなり別人。
「ヘイ、ヘイ、俺を当ててくれ、なっ、ジミー、頼むから。」っていう感じで全員が手を上げる、というより天井に届かんばかりに手を突き出すんやもん、あー、ビックリした。
質問内容は、「一日何時間くらい練習するの?」「何歳から楽器始めたの?」「ジャズを始めたきっかけは?」「どうやってこのメンバーは知り合ったの?」などなど、文字通り質問攻め。
一人、僕だけに「どこから来たの?」って聞く子がいた。
「日本の大阪やで。」って答えたら、「それ一体どこやねん。」みたいな顔で首を振ってやがった。まぁ、知らんわな、そら。
で、最後にもう1曲演奏して無事終了。大体45分くらいの授業やった。
それからランチをテレンスのバンドの連中と一緒にとって、昼から同じような内容をもう一回やって終わり。
ベースをフライト・ケースに入れ空港へ。
1時間半くらいのフライトでNYに到着。
嬉しい事にこの飛行機、マンハッタンをぐるっと1周するようにして空港へ近づいていったから
見事な摩天楼そびえ立つこの美しい島を空からゆっくり眺めることが出来た。ふ〜ん、こんなルートで戻る事もあるんや、覚えとこうっと。
で、座席は進行方向に向かって右の窓側ね。。
それにしても空からまじかに見えるマンハッタンのなんと威厳に満ちてることか。なんか変やねんけど、がんばろうっていう気になる。いつも飛行機から見るたびに勇気百倍になってくるもん、やっぱり不思議。空港からはプロダクションが用意してくれた車に楽器ごと乗り込みアパートへ。
アパートに着いたらまだ夕方やったなぁ。
5/2(Thu)
今日から2泊3日でニュー・メキシコ州アルバカーキーへ。何年か前に一度行ったことがあるけど、とってもいいところ。
今回は弾き語りのアンディ・ベイのカルテットで2回のコンサートを行う予定。メンバーはアコースティック・ギターのポール・マイヤーズ、ドラムのマーク・マクリーンからなるレギュラーカルテット。
つい最近アンディは「Tuesdays In Chinatown」っていうアルバムをリリースした。これが実にいいアルバム。ベースはロン・カーターとピーター・ワシントンのふたりがほぼ半分ずつ演っていて、とりわけロンがホンマに素晴らしい。
特に、ギター、ベース、ドラム(ヴィクター・ルイスが全曲叩いてる)をバックにアンディが唄ってる「I Remember April」、この曲のロンは凄すぎ〜〜〜〜!とてもゆっくりしたテンポで演っていて、「重いけど軽い」「押してるけど引いてる」みたいなベースを弾くのよ、ロンが。(ちなみにキーは#4つのEメージャー。)
取りあえず「百聞は一見に如かず」、いや「一聴に如かず」と申します、是非みなさん聞いてみてくださいな。
でもこのCD、日本で出てるんやろか?
先日僕の友人がNYに来た時、うちでこれ聴かしたら次の日さっそくタワーレコードに行ってご購入。「これは買って帰らなアカンやろ。」やて。うん、君はえらい。C.P.に持って行ってかけてもらうとも言うてました。(かーちゃん、きっと気に入ると思うんやけど。)
さて、朝の10:29発の飛行機に乗り、約3時間半かけてまずはテキサス州ヒューストンへ。
そこでアルバカーキー行きに乗り換え約2時間のフライトで到着。でもNYとは時差が2時間あるのでまだ昼の3時ころ。ホテルにチェックインしてあとは各自自由行動。僕とマークは近所のレストランで食事。
今日のフライトは疲れました。
5/3(Fri)
今日のコンサートは2本立て。
まず11時から子どもたち相手に演奏。これも「授業」の一環みたいやけど、ただ普段どおり演奏するだけ。1時間1回のセットで終わり。まぁ、言ってみれば夜の部のリハみたいなものだったかな?そのあとみんなでランチしてホテルへ戻る。
8時から通常のコンサート。
ホールは300人くらい入る、ちょうどいい感じの広さ。音も悪くない。最初に僕とマークをバックにアンディがピアノの弾き語り。
弾き語り、っちゅうてもそんじょそこらの弾き語りとは趣を異にするねんから。スタンダード中心やねんけどアンディは全曲にアレンジを施してて、独特の音世界を作り上げてる。
1曲目は「You'd be so nice to come home to」。このみんなよく知ってる有名曲、アンディは不思議なコード付けをして一種異様な響きを醸し出している。
キーはCで出だしは、|Am|Bm7b5-E7|ていくところを|B7-Ab7|G7-E7|ていってる。
この最初のB7b9がなかなかの曲者なのよねぇ。残りの部分もそこかしこに独自のハーモニー感覚でコードを当てはめている。
2曲目は「Pick yourself up」っていう、これもスタンダードなんかなぁ?メロディー聞いたら「あっ、それやったら知ってる、知ってる。」となる曲。ミディアムアップでアンディの唄、めっちゃスイングしてる。
あと2曲ほど演奏してアコースティックギターを引っさげたポールの登場。
ここでアンディはピアノを離れステージ中央へ。ギタートリオをバックに、まず「I Remember April」。はぁ〜〜、もうため息が出るような歌。思いっきりためてフレーズが出るんやけど、粘ってる印象が全くない。歌だけでもうすでにグルーヴしまくり。
それから、スティングの「Fragile」、ナシメントの「Bridges」と続き、ギターとのデュオでドリ・カイミの「Like a lover」。もう個人的に好きな曲のオンパレード。ベース弾いてても明らかにアンディの歌に聴きいっちゃってます。
最後の曲は、ギターのポールくん退場して、ベース&ドラムだけをバックに「A Night in Tunisia」。この曲でアンディは見事なスキャットソロを何コーラスにもわたって繰り広げた。すっげーー。
そのスキャットソロはちゃんとロジカルなフレーズになっていて、ただシャバダバダ〜〜とその辺の歌手が雰囲気だけでやるのとは大違い。ビバップのフレーズからどんどんアウトしていって大気圏外まで行っちゃうんやけどちゃんとコードが聞えるのよねぇ。
ちなみにこのアンディ、絶対音感の持ち主。だからやろなぁ、どこ行っても自分の居場所がはっきりわかってはる。
大体1時間ほどのステージ、これにて終了。当然アンコールがあり、アンディは一人、弾き語りでスタンダードの「Little Girl Blue」を歌う。これもエエ曲やなぁ・・・。
僕はこの曲、レイ・ブラウンのリーダー作でシダー・ウォルトンとエルヴィンが一緒に演ってるレコード(タイトル失念)で初めて知った。
さて、明日はもう飛行機に乗ってNYへ帰る。
2泊3日のツアーはホント短いや。
つづく
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