北川潔のN.Y.通信

今や日本を代表するベーシストに成長したニューヨーク在住の北川潔。そんな彼のワールドワイドの活動を、不定期ながら、本人自筆で「北川潔のN.Y.通信」としてお届けします。ステージにあわせて旅行計画を決めるも良し。お楽しみください。



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2002年08月30日

005  ミニミニツアー その3


5/28(Tue)

 そういえば今日のライヴの内容、イマイチよくわからん。
 どっかの製薬会社が得意先の病院の日頃のご愛顧に感謝し、そしてより一層親交を深めようという目的でジャズライヴ付きパーティーを開くようである。どうやらジャズ好きばかりが集まるようなパーティーではなさそう。ふ〜む、ちょいと怪しいな・・・。まぁ、いずれにせよケニーとベンとトリオで演奏できるのは♪幸せ一杯花一杯、楽しくなるのはわかりきってるもんね。
 そう、そう、そういえば今日のライヴ、なんとまた、テレンス・ブランチャードのバンドが一緒。一体どうなってるの?って僕も思ったけど、向こうも「??Hey、またお前かよ〜。」ってな感じ。とうとうテレンスのマネージャーとも仲良くなっちゃいました。

 さて、ホテルからストレッチ・リムジン2台に分乗してダウンタウンへ。とある高層ビルの最上階が今宵のパーティー会場。これってその製薬会社のビルなのかな?その最上階のフロアはうまい具合に2つに仕切られていて、大きめの、日本でいうホテルの宴会場サイズ(にもいろいろあるよなぁ、説明力不足でゴメン)の部屋がトリオ用。比較的こじんまりとした部屋がテレンスバンド用。
 さっそくサウンドチェック。
 嬉しい事にこちらの部屋にあるピアノはスタインウェイのフルコン。いやー、お見事なサウンド。ケニー先生、いたくお気に入りになられたご様子。ちなみにケニーはスタインウェイの専属アーティスト。毎年秋、「VillageVanguard」で1週間ライヴする時はスタインウェイを持ち込みます。
 それにしても相変わらずサウンドチェックのまぁ、簡単なこと。お互いが聴こえるかどうか、それだけが重要なポイント。極端な言い方をすれば、外に出る音に関してはエンジニアにおまかせ。だからモニターの具合さえ良ければ、O.K. 早い時にはブルースかなにかを数コーラスやって、「Good!」てなることも。

 今までいろいろなバンドで演奏してきて、、どのバンドのサウンド・チェックが長かったかなって、今思い出してみたら、ケニー・ギャレットのバンドが一番長かったなドラムのブライアン・ブレイドと3人でヨーロッパをよくツアーしたけどなんでサウンドチェックに2時間も3時間もかけなアカンねん、ホンマ。
 あれ、普通はリハーサルって呼ぶよなぁ・・・。でもリハはケニーの自宅でいやっちゅうほどやったはずやのに。何回も同じ曲練習するんやもん、それに、まるで本番さながらに延々ソロしはるし・・・、ホント、ケニーもブライアンも凄まじかったなぁ。
 でも、そうやって普段どおりに演奏してる間、エンジニアはゆっくりと時間をかけて音を調節できるんでやり易かったやろうな。まぁ、いいや、またこのトリオの話は別の機会に。
 

 サウンドチェック終了後、全員ホテルへ着替えに戻る。今夜は1時間を2セット。テレンスのバンドとほぼ同時進行でライヴをするらしい。さてケニーとベンの今夜のいでたちは、やっぱりスーツ。これがね、カッコエエんだ、ホンマ、よう似合いはる。それに引き換えこの俺様ときたら・・、背が高いからまだなんとか見れるかな、って自分で自分を慰め続けて数十年、今さらなにをどうしたって♪It'sTooLate。(キャロル・キングの唄でこんなんなかった?) 

 ・・・・・・、そんなことはさておき、まだまだお日様がギラギラ眩しいフロリダの夕方。またホテルのロビーに時間どおり全員集合して会場へ。
 
 みんな控え室でワインなぞ飲みながらしばし歓談。
 
 僕はテレンスのバンドのベーシスト、デレックとベース談議。どこそこの修理屋は高いだけでよろしくないとか、どこそこのピックアップはバランスが悪くて困るとか、そういった、まぁ、いろんな不平不満、苦情、悪口、etc,
でひとしきり盛り上がったころに出番で〜すの声が。

 会場はなかなかの盛況でみんなワイングラスを片手にお喋り。まぁ、よくあるパーティー風景ですな。

 その間をぬってケニーとベンと3人でステージへ。(ステージといっても別に演奏する場所が一段高くなってるわけじゃないんだけどね。)それぞれ所定の位置につき、チューニングをして、さぁ・・・・・・・、ん?・・・・・、あれ?・・・・・・、ウッソーー、だ〜〜〜れも聴こうとしてないやん!
 ていうか、誰も僕らのこと、気にも留めてないぞ、お〜〜い(って誰に言うてんねん?)僕らの前には4人くらい用の小さ目の丸テーブルが10台ほど置かれているんだが、それに座ってる連中もケニーがポロンと音を出しても誰一人気にするヤツはいなく、みんなワイワイガヤガヤ、こちらに背を向けて話し込んでる輩もいる。これって、やっぱり・・・、ほらね、最初に今日のライヴは怪しいって言ったでしょ。ケニーもベンも困ったなっていう感じの苦笑い。

 ケニーはしばらく招待客たちの様子を窺ってたけど、どうも静かになりそうな気配がないので、
そのまましょうがなさそうに1曲目を弾きだした。「Have You Met Miss Jones ?」 まぁ、その音のコロコロきれいにころがること、ホント、音の粒が揃ってる。
 ベンはブラシ(これって日本語で書くといつもなんか違うなって気がする。)で円を描くようにスウィング。もう客なんて関係なし。(もともと向こうもこっちを無視してんだから)この二人の間に挟まってベースを弾くこの至福のひと時、あははは・・・。

 笑うしかないってば。
 で、当然のことながら「至福のひと時」なんで、そのあと何を演奏したかさっぱり記憶にございません。

 ということで、ライヴも無事終了し、またみんなでリムジンに乗ってホテルへ戻りましたとさ、あれ〜〜?
 
  つづく       、かな?




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